温泉にまつわる面白い雑学や豆知識について

温泉は、ただ温かいお湯に入って体を休めるだけのものではありません。
地下の地質や化学成分、温度、法律、歴史、入浴文化など、さまざまな要素が関係しています。

普段何気なく入っている温泉にも、「実はそうだったのか」と感じるような雑学が数多くあります。
ここでは、温泉法などの公的な基準も踏まえながら、温泉にまつわる面白い雑学や豆知識を詳しく紹介します。

目次

冷たくても「温泉」と呼ばれることがある

温泉は25℃以上のお湯だけではない

「温泉」という言葉から、熱いお湯をイメージする人は多いでしょう。
しかし、法律上は必ずしも温かい必要はありません。

温泉法では、地中から湧出する温水、鉱水、水蒸気、ガスなどについて、源泉から採取されるときの温度が25℃以上であるか、定められた物質を一定量以上含んでいるものを温泉としています。

つまり、源泉温度が25℃未満であっても、規定された成分を一定量以上含んでいれば温泉に該当する場合があります。

そのため、法律上は「冷たい温泉」も存在します。
低温の源泉を利用する施設では、入浴しやすい温度まで加温して使用することもあります。

温泉は「お湯」だけを意味するわけではない

水蒸気やガスも温泉に含まれる場合がある

温泉法における「温泉」の対象は、液体のお湯だけではありません。

条件を満たして地中から湧出する水蒸気やガスも、温泉として扱われる場合があります。
ただし、炭化水素を主成分とする天然ガスは除かれます。

一般的には浴槽に張られたお湯を温泉と呼ぶことが多いため、法律上の温泉がここまで広い概念であることは意外に知られていません。

「硫黄のにおい」の正体は硫黄そのものとは限らない

腐った卵のようなにおいは主に硫化水素によるもの

温泉地で独特のにおいを感じたとき、「硫黄のにおいがする」と表現することがあります。

しかし、硫黄泉などで感じられる腐った卵に似たにおいは、主として硫化水素によるものです。

そのため、「硫黄そのものがあの独特なにおいを出している」と理解するのは正確ではありません。

においを感じなくても安全とは限らない

硫化水素は濃度によって人体に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、一定濃度以上の硫化水素を吸い続けると、嗅覚が鈍くなり、においを感じにくくなることがあります。

そのため、「硫黄のようなにおいがしなくなったから安全」とは限りません。
温泉施設では、換気やガス濃度の管理などが重要になります。

透明だった温泉が茶色くなることがある

鉄を含む温泉では湧出後に色が変化する場合がある

温泉は、地下から湧き出した瞬間と浴槽に入った後で、色が変わることがあります。

たとえば鉄を含む温泉では、湧出直後には比較的透明でも、空気に触れることによって鉄の状態が変化し、黄色や橙色、赤褐色などに見えるようになる場合があります。

鉄が酸化するという点では、鉄製品がさびる現象と共通する部分があります。

そのため、茶色く濁った温泉だからといって、「お湯が古い」「汚れている」と判断することはできません。

温泉の色は泉質だけでは決まらない

同じような泉質でも色が違うことがある

温泉には、白色、茶褐色、緑色、黒色など、さまざまな見た目があります。

色の違いには、含まれている鉄や硫黄などの成分だけでなく、酸化、成分の析出、微粒子による光の散乱など、複数の要因が関係します。

さらに、源泉の状態や温度、空気との接触時間などによっても見え方が変化する場合があります。

したがって、「この泉質なら必ずこの色になる」という単純な関係ではありません。

温泉に浮かぶ「湯の花」は汚れとは限らない

温泉成分が析出してできることがある

浴槽の中に、白色や茶色などの細かな浮遊物が見えることがあります。

こうしたものの中には、「湯の花」と呼ばれる温泉成分由来の析出物があります。

地下では水の中に溶けていた成分が、地表へ出ることで、

  • 温度が低下する
  • 圧力が変化する
  • 空気に触れる
  • pHなどの条件が変わる

といった影響を受け、溶けきれなくなって析出・沈殿する場合があります。

したがって、浴槽に浮いているものがすべて汚れというわけではありません。
ただし、浮遊物のすべてが湯の花とは限らないため、施設の案内なども確認するとよいでしょう。

「天然温泉」と「源泉かけ流し」は意味が異なる

天然温泉は温泉そのものに関する表現

「天然温泉」と「源泉かけ流し」は、似た意味の言葉として使われることがありますが、意味は異なります。

「天然温泉」は一般に、温泉法の基準を満たす天然由来の温泉を利用していることを示すために使われる表現です。

一方で、温泉法で正式に定義されている言葉は「温泉」であり、「天然温泉」が独立した泉質分類として定められているわけではありません。

源泉かけ流しは温泉の利用方法に関する表現

「源泉かけ流し」は一般に、源泉から温泉を浴槽へ供給し、浴槽からあふれた湯を循環利用せず排出する方式を指して使われます。

ただし、「源泉かけ流し」という言葉について、温泉法上の全国一律の定義があるわけではありません。
表示基準や施設によって使われ方が異なる場合があります。

そのため、

「天然温泉だから源泉かけ流し」

「源泉かけ流しだから加温や加水を一切していない」

とは限りません。

源泉は必ずしもそのまま浴槽に入れられるわけではない

熱すぎる源泉は温度調整が必要

源泉によっては、温度が非常に高いことがあります。

そのまま浴槽に供給すると入浴できないほど熱いため、加水したり、熱交換器などで冷却したり、別の源泉と混合したりして適温に調整する場合があります。

冷たい源泉は加温されることもある

反対に、源泉温度が入浴に適した温度より低ければ、ボイラーなどを使用して加温する場合があります。

そのため、

「加温しているから温泉ではない」

「加水しているから偽物の温泉」

というわけではありません。

温泉施設では、加水、加温、循環ろ過、消毒などの有無や理由について表示されていることがあります。

火山がない場所でも温泉は湧く

温泉には火山性と非火山性のものがある

日本では火山の近くに有名な温泉地が多いため、「温泉は火山の熱で温められている」と思われがちです。

確かに、火山活動に関係する熱を利用した温泉は数多く存在します。

しかし、すべての温泉が火山性というわけではありません。

地下深くでは一般に地表より温度が高くなるため、地下深部まで浸透した水が地熱によって温められ、再び地表付近へ上昇して温泉となる場合もあります。

そのため、活火山から離れた地域や都市部でも温泉が存在します。

温泉を自由に掘ることはできない

温泉の掘削には原則として許可が必要

自分が所有する土地であっても、温泉を湧出させる目的で自由に掘削できるわけではありません。

温泉法では、温泉を湧出させる目的で土地を掘削する場合、原則として都道府県知事の許可が必要です。

また、湧出量を増加させるための増掘や、温泉をくみ上げるための動力装置の設置についても規制があります。

温泉は保護すべき地下資源でもある

地下の温泉は、隣接する源泉などと水理的につながっている可能性があります。

無計画に大量の温泉をくみ上げると、周辺の源泉の水位や湧出量に影響を与える可能性があります。

温泉法には、温泉の利用を管理するだけでなく、貴重な温泉資源を保護する役割もあります。

「温泉」と「療養泉」は同じではない

すべての温泉に泉質名が付くわけではない

温泉について調べると、「単純温泉」「硫黄泉」「塩化物泉」といった泉質名を目にします。

しかし、温泉法上の「温泉」と、泉質名が付けられる「療養泉」は厳密には同じものではありません。

温泉のうち、一定の温度や成分などの基準を満たし、療養目的に利用できるものが療養泉として分類されます。

したがって、

温泉

一定の基準を満たすもの

療養泉

泉質名が付く

という関係で理解すると分かりやすいでしょう。

療養泉の泉質は10種類に分類される

含よう素泉を含めて10種類ある

現在の療養泉は、主に次の10種類に分類されます。

  • 単純温泉
  • 塩化物泉
  • 炭酸水素塩泉
  • 硫酸塩泉
  • 二酸化炭素泉
  • 含鉄泉
  • 酸性泉
  • 含よう素泉
  • 硫黄泉
  • 放射能泉

それぞれ含まれる成分や性質が異なるため、色、におい、味、肌触りなどにも違いが現れる場合があります。

温泉巡りでは、単に違う施設へ行くだけでなく、泉質の違いに注目すると楽しみ方が広がります。

無色透明で無臭でも温泉である

見た目だけでは温泉かどうか判断できない

温泉というと、白く濁っていたり、独特のにおいがしたりするイメージを持つ人もいるでしょう。

しかし、無色透明でにおいがほとんどない温泉も数多くあります。

特に見た目だけでは、水道水を沸かしたお湯との違いが分からない温泉もあります。

温泉に該当するかどうかは、色やにおいではなく、温泉法で定められた温度や成分などによって判断されます。

温泉は自然に湧き出しているものだけではない

ポンプでくみ上げる源泉もある

温泉地というと、岩の間などから温泉が自然に湧き出している光景を想像する人も多いでしょう。

もちろん自然湧出する源泉もありますが、地下を深く掘削し、ポンプなどの動力を利用して温泉をくみ上げている施設もあります。

そのため、

「自然に湧き出していないから天然温泉ではない」

とは限りません。

湯口の固まりは長年の温泉成分の蓄積であることがある

温泉成分が少しずつ析出する

歴史の長い温泉施設では、湯口や浴槽の縁に白色、黄色、茶褐色などの固い層が付着していることがあります。

これは、温泉水に含まれていた成分が長期間にわたって析出・沈殿し、積み重なったものである場合があります。

1日ではわずかな量でも、数年、数十年と温泉が流れ続けることで、厚い層になることがあります。

見方を変えると、こうした析出物は温泉が流れ続けてきた歴史の一部ともいえるでしょう。

温泉の「適応症」は病気が必ず治るという意味ではない

適応症は温泉利用に適するとされる症状などを示すもの

温泉施設では、「適応症」という言葉を目にすることがあります。

適応症とは、その温泉を浴用または飲用した場合に適するとされる症状や状態などを示したものです。

ただし、温泉に入れば特定の病気が必ず治ることを保証するものではありません。

また、体調や病気の状態によっては温泉入浴を避けたほうがよいケースもあります。
持病がある場合や体調に不安がある場合は、必要に応じて医師へ相談することが大切です。

天然温泉だからといって自由に飲めるわけではない

飲泉できる温泉とできない温泉がある

温泉地には「飲泉所」が設けられていることがあります。

しかし、温泉であればどこでも飲んでよいわけではありません。

温泉を飲用に利用する場合には、成分や衛生管理などについて一定の基準が関係します。

そのため、

「天然温泉だから体によさそう」

という理由だけで、浴槽のお湯や湯口から流れている温泉を自己判断で飲むのは避けましょう。

飲泉を試す場合は、施設が明確に飲用可能としている場所を利用し、表示されている飲用方法や量を守ることが大切です。

温泉成分は濃ければ濃いほど良いわけではない

刺激が強い泉質もある

「温泉成分が濃いほど体に良さそう」と感じるかもしれません。

しかし、温泉の価値や体との相性を成分濃度だけで判断することはできません。

酸性泉や硫黄泉など、泉質によっては皮膚への刺激を感じる人もいます。
体質や肌の状態によっても感じ方は異なります。

そのため、成分の濃さだけを基準にするのではなく、自分の体調や肌の状態に合わせて温泉を楽しむことが重要です。

温泉ではアクセサリーが変色する場合がある

温泉成分と金属が反応することがある

温泉の成分によっては、金属製アクセサリーが変色したり変質したりする場合があります。

特に銀製品などは、硫黄化合物を含む環境で黒っぽく変色することがあります。

温泉に入る前には、

  • 指輪
  • ネックレス
  • ピアス
  • ブレスレット
  • 腕時計

などを外しておいたほうが安心です。

紛失を防ぐという意味でも、入浴前にロッカーなどへ保管しておくとよいでしょう。

温泉に入った後は必ずシャワーで流す必要があるとは限らない

泉質や肌の状態によって判断する

温泉から上がった後に、「シャワーで流したほうがよいのか」と迷うことがあります。

これについて一律の答えがあるわけではありません。

泉質や施設の案内、肌の状態などによって対応は異なります。

刺激を感じやすい泉質の場合や、入浴後に肌へ違和感が出た場合には、真水で洗い流すことも選択肢になります。

基本的には、施設に掲示されている入浴上の注意を確認し、自分の肌の状態に合わせて判断するとよいでしょう。

「美人の湯」は正式な泉質名ではない

温泉地や施設で使われる通称

温泉地では、「美人の湯」「美肌の湯」といった言葉をよく見かけます。

しかし、「美人の湯」という名前の正式な泉質が存在するわけではありません。

炭酸水素塩泉やアルカリ性の温泉など、入浴後に肌が滑らかに感じられる温泉について使われることがありますが、温泉地や施設によるPR表現として使われるケースもあります。

したがって、「美人の湯」という言葉だけで泉質を判断するのではなく、実際の泉質名やpH、成分などを確認するとよいでしょう。

温泉のぬるぬる感は油によるものとは限らない

pHや溶存成分などが肌触りに影響する

温泉に入ったとき、肌がぬるぬる、すべすべと感じることがあります。

こうした浴感は、温泉のpHや含まれている成分、温度、肌の状態など、複数の要因によって変化します。

特にアルカリ性の温泉では、肌表面の皮脂などとの関係によって滑らかな感触を覚える場合があります。

ただし、

「アルカリ性なら必ずぬるぬるする」

「ぬるぬるしているほど成分が濃い」

とは限りません。

温泉の肌触りは泉質を楽しむポイントの一つですが、それだけで温泉の良し悪しを判断することはできません。

同じ温泉地でも施設ごとにお湯が違うことがある

一つの温泉地に複数の源泉がある場合も多い

同じ名前の温泉地にある旅館やホテルでも、すべて同じ源泉を利用しているとは限りません。

たとえば、

A旅館は源泉A
B旅館は源泉B
C旅館は源泉Aと源泉Bを混合

といった使い方をしている場合があります。

さらに、施設ごとに加温、加水、循環ろ過、消毒などの利用方法が異なることもあります。

そのため、同じ温泉地の中で湯巡りをすると、色やにおい、肌触りなどの違いを感じられることがあります。

「温泉成分分析書」を見ると温泉の特徴が分かる

温泉のプロフィールのようなもの

温泉施設では、温泉の成分や泉質などに関する表示を見ることができます。

温泉成分分析書や施設の温泉表示には、

  • 泉質名
  • 源泉温度
  • pH
  • 含まれている主な成分
  • 成分量
  • 適応症
  • 禁忌症
  • 入浴上の注意

などが記載されています。

施設や分析書によっては、湧出量などの情報が確認できる場合もあります。

温泉好きの人は、浴槽に入る前にこうした表示を確認すると、「なぜこの温泉はこんな色なのか」「なぜ独特の肌触りがするのか」といったことが理解しやすくなります。

温泉と銭湯はそもそも分類の基準が違う

温泉はお湯の性質、銭湯は施設に関する言葉

「温泉」と「銭湯」は反対のもののように思われることがあります。

しかし、そもそも両者は分類の基準が異なります。

温泉は、温泉法で定められた温度や成分などを満たす地下資源に関する概念です。

一方、一般にいう銭湯は、公衆が入浴するための施設に関する概念です。

そのため、銭湯で天然温泉を利用している施設もあります。

逆に、大きな浴槽や露天風呂がある施設であっても、必ず天然温泉を利用しているとは限りません。

温泉の雑学を知ると入浴がより面白くなる

温泉には、普段入浴しているだけでは気づきにくいさまざまな特徴があります。

25℃未満でも成分によっては温泉と認められることや、温泉には水蒸気やガスも含まれる場合があること、さらに同じ温泉地でも施設によって使用する源泉が異なることなど、知ってみると意外な事実も少なくありません。

また、温泉の色やにおい、肌触りにも、それぞれ地質や化学成分による理由があります。

次に温泉を訪れた際には、単にお湯につかるだけでなく、源泉温度、pH、泉質、湯の花、湯口の析出物、温泉成分分析書などにも注目してみるとよいでしょう。

温泉について少し知識を持っているだけでも、いつもの温泉旅行をより深く楽しめるようになります。

以上、温泉にまつわる面白い雑学や豆知識についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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